越後三山周辺　花降岳(1891m)、本城山(1758m)　2014年9月27日　　カウント：画像読み出し不能

所要時間　5:50 荒沢岳登山口－－6:33 前山－－8:01 前嵓－－8:58 荒沢岳東尾根(休憩) 9:15－－9:42 1892m峰－－9:57 1898m峰－－10:21 1890m峰－－10:36 花降岳(休憩) 10:50－－11:09 1820m峰－－11:24 岩峰を巻く－－11:54 本城山(休憩) 12:10－－12:45 岩峰を巻く－－13:16 1820m峰－－13:46 花降岳(休憩) 14:00－－14:18 1890m峰－－14:40 1898m峰－－15:04 1892m峰－－15:41 登山道(休憩) 16:07－－16:40 前嵓－－17:54 前山－－18:17 荒沢岳登山口

場所新潟県魚沼市(旧湯之谷村)
年月日2014年9月27日　日帰り
天候快晴
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場荒沢岳登山口に駐車場あり
登山道の有無荒沢岳の稜線まで登山道あり。登山道～本城山間は登山道無し
籔の有無道がない区間は全て籔。登山道～花降岳間は笹5割、灌木5割程度、花降岳～本城山間は灌木、アスナロが多く苦労した
危険個所の有無荒沢岳登山道で鎖場あり。荒沢岳東尾根は危険個所は無い
山頂の展望花降岳：好展望
本城山：灌木で展望なし
GPSトラックログ
(GPX形式)		ここをクリックしてダウンロード
コメントまさかの無雪期籔漕ぎで花降岳、本城山の山頂を踏む。籔の状態が不明だったがどうにか日帰り可能だった。ただし籔漕ぎで往復7時間かかりかなり疲れた。籔の背丈が低く大半の区間で展望が効くのは助かった。




荒沢岳登山口駐車場 トイレの横を進むと登山口
荒沢岳登山口 登山口から近い場所に水場あり
紅葉が始まった尾根を登る 前山
前山付近から見た荒沢岳 この高まりから鎖、梯子が始まる
最初の鎖 梯子
1440m肩から見た前嵓岩峰群。ここは東を巻く
登山ルート 先行者
前嵓 前嵓より先はなだらかな尾根が続く
荒沢岳東尾根に乗る

これから進む尾根。籔の状態が気になる
1890m肩から見た南側の展望(クリックで拡大)
1890m肩から見た日光白根 1890m肩から見た男体山～女峰山
最初の小ピークはハイマツ 尾根上は灌木＋笹
振り返る 荒沢岳山頂の登山者
1892m峰から見た花降岳 1898m峰への登りは籔が薄い
1898m峰 1898m峰から見た花降岳
1898m峰から見た荒沢岳 1898m峰東側の急な岩場
1898m峰を東側から見る 1890m峰へ緩やかに登る
振り返る。紅葉が進行中
1890m峰 1890m峰から見た花降岳
花降岳 相変わらずの灌木＋笹藪
花降岳までもう少し 花降岳山頂
花降岳山頂に残されたピカピカの青い紐 ヤキソバパン
花降岳からのパノラマ展望(クリックで拡大)
次は本城山 花降岳北尾根
本城山へ下り始める
1820m峰 いくつか小ピークあり
1820m峰 1820m峰への登り
1820m峰てっぺん。ここからしばしアスナロ激籔で足が地面に付かない
稜線上を占拠するアスナロ 1820m峰を振り返る
痩せた岩峰が見えてきたがまだ激藪漕ぎ中 岩峰
岩峰の東基部を巻いている最中 巻き終わって激籔を漕いで尾根へ復帰
本城山への登りはもうヘロヘロ またアスナロ
てっぺんが見えているが灌木藪でなかなか進まない 本城山山頂の一角に出たがまだ灌木藪
本城山山頂。2mほどの灌木藪に沈む 本城山から見た花降岳
本城山から見た東側 本城山から見た西ノ城。4月はあそこまで登った
元来たルートを逆戻り 岩峰を巻く
岩峰の次は籔の急な尾根

急なアスナロ籔。足を上げるのがきつい
アスナロ籔

1820m峰へ最後の登り
1820m峰から見た花降岳 花降岳への登り
何段かの急斜面あり 花降岳最後の登り
花降岳到着 1890m峰から西を望む
1898m峰。帰りは岩尾根を直登 1898m峰から西を見る
奥只見湖の遊覧船 1898m峰の下りだけは籔が薄く楽
再び籔へ突入 1892m峰より荒沢岳
シラビソの木の根元は籔が薄い やっと登山道が近づく
最後の登り やっと登山道に出た！
往復した尾根 懐かしの毛猛山
PM4時を過ぎて出発 前嵓から岩峰群を見下ろす
鎖場核心部に突入 慎重にバックで下る
1440m肩。核心部はほぼ終了 最後の鎖場も通過。もう暗くなっても問題なし
前山。写真では明るそうだがかなり暗い 登山口到着


　荒沢岳から東に伸びる稜線は、今年4月に東ノ城、西ノ城は登ったが、西ノ城の西側のピークが恐ろしいナイフリッジになっていて撤退したため、本城山と花降岳が残っていた。この２つも残雪期に登ろうかと考えていたが、距離はそれほど長くないので無雪期でも荒沢岳登山道から東尾根を往復するのは可能ではと考えるようになった。もちろん、場所、標高からして藪は薄くはないと思うが、2週間前の硫黄岳と同じで無雪期は滑落の危険がないので安全度が高い。今週末も土日とも好天が予想され、夏とは違って雷雨の心配もなく気温が下がって涼しいので藪漕ぎにちょうどいい時期だから、思い切って本城山と花降岳を目指すことにした。ただし、山頂に届くかどうかは藪の状態次第。ネットで調べたが残雪期の記録はあっても無雪期は皆無だった。DJFも花降岳は残雪期に登っているが、雪の状態が悪くて本城山から東へは向かわず花降岳北尾根を途中まで下って大磧沢を下るという恐ろしいルート取りをしている。

　睡眠時間を確保するために高速道路の深夜料金は諦めて小出ICで下りて銀山平へ。荒沢岳登山口駐車場は車中泊禁止の看板が出ていたので川沿いの広場で仮眠。ここは他の車に邪魔されることなく快眠できた。

　翌朝、朝飯を食ってから登山口へ。駐車場はあまり広くないので8割方埋まっていて出発準備中の登山者の姿あり。タクシーもやってきて単独男性を下ろしていった。たぶん中ノ岳、越後駒ヶ岳と縦走して別の登山口に下りるのだろう。こちらは日帰りの予定だが万が一のビバークに備えて防寒具は多めに。水もこの時期の荒沢岳なら500ccで済むと思うが2リットル担いだ。念のためお助けロープも入れる。

　この登山道はこれで3回目。様子は分かっているので主稜線に出るまでは問題なし。タクシーから降りた男性に早々に追い抜かれるが、急ぐわけでもないので変わらないペースで歩きつづける。登山口付近も朝は寒かったが日が上がると急激に温度も上がってくる。すぐにいつもの半袖シャツに変わる。

　前山を通過するとしばしなだらかな尾根を進む。前くら手前の尾根の立ち上がりからが危険地帯の始まりで、鎖、梯子が連続して出てくる。2週間前の硫黄岳を思い出すが、あちらは道は無いが岩は無かったので安全性は高かった。一度尾根の肩に出るとその先は岩壁帯で一般人は突破困難なので東を巻く。その登り返しが一番の危険地帯。濡れた岩を鎖でバックアップを取りながらよじ登っていく。ここで先行する男性2名に追いつき、前嵓で休憩中のところを私が先行する。これより先は危険個所はない。

　紅葉が始まった荒沢岳北側斜面を見上げながら歩くのは気持ちがいい。山頂付近の紅葉はあと1週間後くらいがピークだろう。荒沢岳東尾根に乗って登山道が右(西)に曲がるところで休憩。南には平ヶ岳や燧ヶ岳など尾瀬の山でその向こうには奥日光の山。東側は会津駒ヶ岳～丸山岳の長い稜線。北側は未丈ヶ岳から毛猛山の稜線、その奥には浅草岳、守門岳も見えていた。新潟平野の奥には弥彦山も。本当にいい天気だ。休憩中に男性2名が登っていったが、たぶん私がいつまで経っても山頂に現れないので怪訝に思ったことだろう。

　GPSに花降岳、本城山の緯度経度を入力すると花降岳の距離がおかしい。事前調査で2km以下だったのを覚えているが今の表示は約10km。地図に書き込んだ緯度経度が間違っているようだがどう間違えたのか。いろいろ試してみたら経度が3分ほどずれていたようだ。花降岳まで約1.3km、本城山まで約2kmと出た。2kmなら平地なら約30分だが、いったい何時間かかるか予想困難。一応6時間を見込んでいるが、それよりも時間がかかる場合、鎖場で真っ暗はごめんなのでここにPM4時半からPM5時に戻ってくる必要があるだろう。それに間に合いそうになければ途中撤退だ。

　さあ、ここからが本番。出番が無さそうな装備は藪に隠してできるだけ身軽になって出発。ここから見ると1892m峰、1898m峰が顕著に頭をもたげ、1890m峰は花降岳とつながって見える。ぱっと見た目は低い藪が多く視界は大丈夫そうだが、笹と潅木どちらが優勢かは微妙そう。笹の方が漕ぐのは楽なのだが・・。基本的に遅くまで残雪が残るであろう稜線南側の方が笹が多く見えているので、できるだけ南側を行くのがお得だろう。

　最初は立った細い潅木と笹の混合藪でまだまだ序の口。このレベルの藪がずっと続くなら楽勝だろう。しかし次の小ピークはハイマツがお出まし。南斜面は傾斜が急な笹でずり落ちるので巻くのは不能、足を思い切り上げて立ったハイマツによじ登って踏みつけながら進む。こんなのが延々と続いたら花降岳まで届きそうにないが、小ピークから下りにかかると再び通常潅木＋笹に落ち着いてくれた。残念ながら純粋な笹の区間はほとんど無く、低い潅木が混じっているので腕の力が必要だ。面倒なのはシラビソ低木で、地面から横に枝を伸ばしているので痩せた尾根だと迂回できずにそれを突破しなければならない。シラビソの枝は固いので漕ぐのは大変だ。

　1892m峰の登りはやや背の高いシラビソが混じるが基本的には森林限界の様相。シラビソの下だけは日当たりが悪くて藪が薄いので助かる。できるだけ木の間の笹原を進んでいく。このピークは東西方向に小ピークがあり、遠めに見たときには顕著なピークに見えるが現場ではそうでもなかった。東端の肩に出ると次の1898m峰が聳える。

　少し潅木藪の割合が高くなった東向きの尾根を下って再び藪の中を進行。1898m峰の登りにかかると植生が変わり、木や笹の高さが膝くらいに低くなって歩きやすくなった。すると明瞭な獣道の筋が登場。カモシカなのか熊なのか分からないが、鹿でないのは確実だろう。なお、今回は熊の糞は見かけなかった。1898m峰も東西に細長いピークで、一番高い場所はアスナロ藪で覆われていた。ここは藪を避けて笹との境界の南側をショートカット。

　ピーク直下の下りはえらく急で、下り方向では下の様子が見えず危険で、たぶん岩場になっているのだろうと予想して北側から迂回。ここもかなりの傾斜だったが藪に掴まって2mほど下の傾斜が緩やかな草付きに着地した。尾根に戻ると予想通りの急な岩場。ただし、帰路は藪を避けてこの岩場を登ってみたが特に難しいことはなかった。たぶん残雪期は雪壁化しているか、それとも早くに雪が落ちて岩が見えているだろうか。たぶん北か南かどちらかから巻けるのだろう。

　次の1890m峰まではなだらか尾根歩きだが、藪の状態は相変わらずで笹はいいが潅木が邪魔だ。これが残雪期なら楽々通過だろうに。登りにかかると潅木が増えてくるので、できるだけ藪が薄い南側から迂回を試みる。

　このピークも明瞭ではなく東西に長い。やっと花降岳が近づいたが見る限り藪の状態は不変でこれまでと同じくらいか。しかし、延々と木登りが続くような地面に足が付かない藪が続くようなことなはく、逆にそんな藪はここまでごく一部。予想より順調と言えよう。この分なら花降岳は問題なく山頂を踏めそうだ。

　ピークを越えて最後のアプローチも笹と潅木のミックス藪だが、これも今まで同様に背が低くて前方が確認できる区間が大半なので大助かりだ。藪を掻き分けて緩く登ると山頂の一角に到着。ここも今まで越えてきたピークと同じように東西に同じような高さの小ピークや肩が並ぶ地形。藪突入前にGPSに入れ直した緯度経度が怪しいが、GPSの表示を見ると残り100mを切っているのでどうやら正しい数値だったらしい。北側を見れば明瞭な尾根が伸びていて、地形図の花降岳と合致する。

　GPSの残距離表示がゼロ地点に到着。高い立ち木は皆無で低い笹と潅木の見通しのいい場所だった。木がないので標識もなし。人工物皆無かと思ったら笹の中に真新しい青い紐を発見。平たい紐でピカピカの光沢があり、どう見ても最近のもののような。残雪期ではなく私のように無雪期登山者の物のように思えた。ここなら他に物好きがいても不思議ではない。紐の近くの低い木に赤テープを残した。残雪期は確実に雪の下だろう。

　登山道と分かれてここまで約1時間半。予想以上に早く到着できまだ体力的にも問題なし。このままの藪の状態が続けば本城山も楽勝とは言わないまでも問題なく打ち落とせそうだ。その前に腹ごしらえ。今回はDJFの真似をしてヤキソバパン。ただしセブンイレブンの「純正品」ではなくダイエー系列のスーパーの「セカンドソース」だ。しかも夜間の売れ残りセールで半額の品。おいしくいただいた。

　GPSの表示を見ると花降岳から本城山までの直線距離は760m、登山道から花降岳間の約半分だ。1時間もかからずに到着できるだろうか。山頂部の東の肩から見下ろすと低い位置に見えている。途中の尾根には岩っぽいピークが1箇所見えているが通過できるだろうか。残雪期に歩いた人が普通に通過しているはずなので、無雪期に通過できないはずはないか。

　尾根はいったん右(南)に曲がってから東に向きを変える。ここも低い潅木＋笹で見晴らしがいい区間が続くが、尾根は広いもの2ヶ所くらいで急な傾斜が出現、藪で先が見えないので藪に掴まって慎重に下る。しかし岩場らしい岩場は無かった。キレット状の小さな鞍部をいくつか通過ここから見る谷は南側/北側とも穏やかそうに見えるが、北側はもう少し先は恐ろしいことになっているのだろう。一方、南側は登山道を離れからほぼ一貫して傾斜が緩い谷が多く、沢登りなら藪を回避して容易に稜線に出られそうな雰囲気だった。

　1820m峰のピークに立つととうとう強固な藪が出現した。尾根が痩せて迂回はできない地形の上にアスナロの幼木が密集していた。足は完全に地面から浮いた状態でアスナロの枝に乗りつつ下っていくが、高密度の固い枝で藪を漕ぐのが格段に難しくなり両腕ともすぐに疲れてしまう。また、藪が濃すぎて地形が見えず、たまに枝から降りて隙間から地面を見て地形を把握する。たまには地面を這ってアスナロの下を潜り抜けることも。この状態がしばらく続き、ここで時間と体力を消耗した。今は下りだからまだいいが、帰りにこれを登り返すことを考えると気が重い。撤退しようかとも考えたが残距離は500mを切っているし、鞍部を越えた先のピークが山頂であり、近くにそれが見える状態で撤退はなかなか決断しにくかった。惰性に近い精神状態で藪との格闘を続ける。

　アスナロ藪が終わって明るくなったと思ったら両側が切れ落ちた小岩峰が登場、その鞍部へは短いが非常に急な下り。尾根直上には岩がありそうな雰囲気で左側から迂回した。

　見上げる岩峰は藪が絡み付いているがかなり細く、反対側が降りられるような地形かここからでは判断不能。どうするか思案した結果、岩の右側基部を巻くことにした。今まで同様にこの稜線は一般的に南側斜面の方が傾斜が緩く、場所によっては草付きもある。岩の基部もそんな比較的傾斜が緩い草付きで、たぶん雪がある時期も南を巻くのだと思う。基部に下るのが少し急だが藪に掴まってクリア。巻くのは簡単だったが尾根に復帰するのに藪のトラバースとなって苦労した。ここはアスナロではないが潅木藪がきつかった。

　鞍部から最後の登りにかかるが、アスナロは無いが潅木類が増えて抵抗が増してスピードダウン。本城山の山頂部は見えているのに遠い。途中、傾斜がきつい部分が1箇所あったがそこが特に潅木藪が酷かった。それを通過してもまだ潅木中心の藪で笹の割合が低下していた。そして最後の緩やかな登りは黄色く紅葉したミズナラかコナラらしき低潅木の藪の連続。高さは首くらいまででどうにか視界を確保できたが、山頂直下からは2mくらいの高さになって展望なし。周囲は紅葉した葉で黄色一色だ。

　GPSの表示を見ながら潅木藪を突き進んでやっと最高点到着。ここが本城山山頂だ。高さ2mほどの潅木に覆われて人工物皆無。展望も皆無。潅木の枝に赤テープを残したが、ここも残雪期は雪の下だろう。南にずれると潅木から笹に植生が切り替わって展望が開け風が吹き抜ける。4月に登った西ノ城、撤退した1610m峰もはっきりと見えた。

　これで本日の計画したピークは全て登ることができたが、花降岳からここまでの藪の濃さはかなりなもので、体力の消耗が激しかった。時間もかなりかかってしまい、鎖場を明るい時間帯に通過するにはあまりのんびりと休憩できない状況だ。天気がいいのはありがたいがおかげで日差しが暑くて水の消費も激しく、既に1リットルを飲んで残り500ccを切った。登山道脇に500ccデポしてきたので、それまでは我慢か。

　大した休憩はできず足は重いが下ってきたルートの逆戻りを開始。こんな状況なら全部の荷物を持ってきて西ノ城方向へ下った方が良かったとも考えたが、この先の藪の状況変化がどうなるか全く読めないし危険個所の有無も不明だ。素直に戻るのが賢明だろう。

　アスナロ藪の突破はかなり苦労。藪の濃さに加えて傾斜もきつく、藪に掴まって両手で体を引き上げる場面も多く握力も使った。足が地面に届けばこんなことせずに済むのだが・・・。やっと激藪区間を抜けてもまだまだ潅木藪に急な尾根が続く。花降岳に戻るまでに何度も短い休憩が必要だった。

　花降岳に戻って少し長い休憩。往路で1時間半掛かっているが、おそらく復路も同程度、いや、体力の消耗を考えるともっと時間がかかるか。鎖場核心部の通過が明るい時間帯、今だとPM5時半くらいまでだとすると、登山道には最悪でもPM4時半くらいに到着したいところだ。この分だと登山口に戻る頃には真っ暗になっているのは確実と思われた。まあ、最初からその覚悟はできているが。

　往路では登山道から花降岳の間はそれほど苦労しなかったが体力限界に近い今は潅木藪に足が上がらず、頻繁に短い休憩を入れる。靴紐も藪で何度解けたことか。二重三重に縛っても解けてしまい、休憩の言い訳になった。2週間前の硫黄岳のハイマツ藪もひどかったがここよりずっと距離は短く、今回の方が格段にきつかった。

　這う這うの体で登山道に飛び出し、銀マットを敷いてひっくり返って休憩。水も250ccほど一気に飲む。これでもまだ喉の渇きが完全に癒えたわけではないが、この先の下りは長い。残しておかなければ。既に日は西に傾きかけて、登山道は荒沢岳山頂の日陰に入るようになった。時刻はPM4時ちょっと過ぎ。藪漕ぎで疲れて重い足だが出発だ。岩壁帯を巻くところ以外は登り返しはそれほどきつくないだろう。

　既に誰もいなくなった静かな登山道を下る。疲れたのは足を上げる筋肉でお尻の部分。下りで使う筋肉にはまだ余裕があってよかった。あまりにヘロヘロでは鎖場が恐ろしすぎる。前嵓から危険地帯の核心部へ突入、鎖でバックアップを取りつつ足元を確認しながらバックで下った。濡れた岩場を下りきれば核心部はおしまい。ここは尾根の東側で夕日が遮られて涼しくて助かった。

　尾根への僅かな登りも今は苦しい。その後も鎖と梯子が連続するが危険度は今までより下がる。もう明るいうちに通過は確実なので精神的にものんびりと歩けた。最後の水を飲み干す。秋口で2リットルも水を飲んだ記憶はないな。それくらい藪漕ぎと日差しがきつかった。

　最後の鎖が終わり平坦な尾根に入って楽勝だと思ったら、往路では感じなかったが細かい登りが登場、疲れた足には非常にきつい。気温は10℃を切ったが疲労が蓄積して体感的には暑いくらい。片手で扇をパタパタしながら歩いた。

　コースは樹林帯に突入、まだ上空は残照があるがPM5:45頃にはライトを点けないと登山道の細かな凹凸が見えないくらいに暗くなった。三角点のある前山の写真はライトをつけて撮影。この先は正真正銘、登り返しは無く下り一辺倒で、疲労困憊の足には助かった。沢の音が聞こえるとゴールは近く、コンクリートの受水槽？に取り付けられた蛇口をひねり、冷たい水をいただいた。

　駐車場に戻るともう車はいないと思いきや、朝からほとんど台数が減っていないような。ということは越後駒ヶ岳方面への縦走者がけっこういたということか。私の御隣の横浜ナンバーの車も残っていた。車中泊準備中の車が1台あり。

　気温は10℃を切っているので、体の動きを止めるとさすがに寒さを感じる。温泉に向かう前に濡れタオルで体の汗を拭って着替えを済ませ、荷物の整理をして出発。最初にキャンプ場併設の「かもしかの湯」を目指したがまだPM7:00前なのに既に本日の営業終了。逆方向の「白銀の湯」を目指す。たぶんPM7:00くらいまでは営業(入場OK)しているだろうと思うが残り時間は20分もない。枝折峠分岐を過ぎてなおも西に走って橋を渡ると宿泊施設群があり、その中に温泉があった。駐車場は照明が無く真っ暗だが星空が凄かった。料金は\650/人。木造の大きな建物で木の骨組みが丸出しの構造だが、この方が好感が持てた。お湯を浴びると藪漕ぎによる腕や足の傷がしみた。足の疲れはかなりのもので、大きな浴槽で足を伸ばして湯に漬かるのは天国そのものだった。


まとめ

　荒沢岳東尾根は、登山道から花降岳までなら藪は我慢の範囲内だが、そこから本城山までの間は地獄の藪だ。危険個所はないものの、残雪期と比較すれば体力と所要時間はかなり増えるだろう。登山道から本城山までを往復する場合、一般的には2日かけないと苦しい。登山道を外れるとテントが張れる地面が出た場所は皆無なので、登山道上にツェルトでも強引に張るしかないだろう。登山道に戻らず本城山を越えて西ノ城、東ノ城と尾根を下ることも可能だろうが藪の状態は不明で所要時間も全く読めない。尾根上では水はないので途中で幕営するにも重い水を持っての藪漕ぎとなるだろうから、相当きついに違いない。やはり常識的には残雪期の山。

　

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